moshimoshi

2025/03/10

会期:2025.3.22(土)〜4.1(火)
作家在廊:未定

自然光いっぱいの白い部屋の天井から、小さな小さな毛のかたまり…モフモフたちが降りてくる。20年くらい前に偶然入ったその場所で、不思議な群れに遭遇した。吊るされたモフモフを下からめくって見ると目が付いていて、猫のような小さな生きものだった。すぐになびいて問い合わせしたものの、非売とのこと。欲しかったペットが家に来ない、そんな淋しい気持ちになり家に帰った。

それから10年が経ったある夜、私たちは暗闇で再会する。古い一軒家の急な階段を上がった畳の間に放たれて、月夜に照らされた謎の生きものが目をギラギラさせていた。ゆっくり体を回したり、おうむ返しでお喋りをする子、不気味な音色に合わせて動く子もいる。函の「まわして下さい」という貼り紙に従って、手巻きオルゴールを回すと大きな音とともにモフモフが飛び出したから、驚きのあまり落としてしまった。それは心臓に負担を感じるほどだったが、ショックとともにじわじわ笑みが溢れ出た。痛みが甘く溶けていくような感情、それは何かに似ている。惚れた。あれから更に10年経ったけれど、恋愛のようにまだこの子たちを追いかけている。


略歴)
moshimoshi

photo:Shingo HIKIAMI

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