Kit 買い付け展 02

2024/03/01

会期:2024.3.9(土)ー19(火)12:00-18:00

私は時どき買い付けをドラゴンクエスト、宝探しゲームに例える。とりあえず出発して、行く先々でtokimeki発動すればそれを手に入れる。持ち金をすべて失い入手出来ないこともあるし、落とし穴やがどういうかたちで現れるか分からず一回止まる、終了、と思いきや間一髪でボーナス救世主が舞い降りギリギリセーフ!そんなことの繰り返し。


2012年にKitを始めることにした。貯金も退職金も無く所持金は最後に貰った給料とボーナスの残り合わせて30万ポイントくらい。そこから色んな人に助けられたり、大迷惑を掛けたりしてスタートした。フライトチケットが安い、G-DRAGONが好き、そんな理由から最初に選んだ海外買い付け先は韓国だった。繰り返し訪れ眺め続けた韓国の中で拾い上げたものは、何の知識も無い私を大いに成長させてくれた。それは経験主義円安や社会情勢の変化といった大人の事情もさることながら自分自身が年齢を重ねて、選び方見せ方も随分と変わってきたように思う。ふと、何の罰ゲームをやらされているのだろう?と思うこともあるが、無いものを探し続ける旅は何度でも新しいに出会う冒険活劇であり、それこそが宝探しであることに気づかされる。そろそろ2、3コマは進めた頃だろうか?何度もこんにちは、さようならを繰り返したここに再び戻ることにした。
アンニョン、韓国。




키트
매입 02
나라: 한국
년: 2024
감사: 아메노히 커피점,김한솔

Kit
BUYING 02
Country:KOREA
Year :2024
Thanks:amenohi coffee,Kim Hansol



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臼杵春芳 展

2023/12/12

会期:2024.1.6(土)〜16(火)

久しぶりに臼杵春芳さんを訪ねた。先ずはところどころに植えた漆の木をチェック。 知り合いが持つ里山など、了承を得て数カ所に植えているらしく15年~20年で漆が掻けるようになるそうだ。元気に育っているものもあれば病気になった木もある。漆のストックが足りなくて、今年はまだ良いが来年、再来年はどうなるか…そんな話しを聞きながら山道を歩いた。

長らく木地を挽いてくれていたベテラン木地師さんは引退されたから、木地を用意するのにひと苦労していて、ここ2年間で状況は大きく変わっていた。そんな訳で今年は臼杵さん自身が轆轤を挽いた木地もあり、これまた私の好みである。数ものには出せない、ぽってりどっしりしたサイズとかたち。職人技のシャープでバランスの良い木地とはまた違った魅力がある。自然に生まれる漆の縮みや木屑の混入を生かした漆塗りは絵画的で、この漆の重なりこそ臼杵春芳だと思うのだ。

ここに来ると必ず同じうどん屋へ行き、漆の木をチェックし、最近の作品を見せてもらい、侃侃諤諤と話し猫を撫でて帰る。そんないつも通りの定点観測なのだが、確実に日本の漆は無くなりつつあるし、讃岐特有の轆轤を挽く木地師さんもいなくなってしまった。移りゆく時を感じながら、いま出来ることの中でなんとか生まれる作品を楽しみに待つばかりだ。


作家在廊:6(土)、7(日)

臼杵春芳 / USUKI Haruyoshi
1954年生まれ。1977年彫刻家新宮晋氏に師事。京都を拠点に建築家との共同作業で店舗や個人住宅の家具制作を行う。近年は工房を香川へ移し、漆の木の栽培をはじめ、漆掻き、木地師、塗師の一連の工程を一人で行っている。

www.usuki-koubou.com

photo:Shingo HIKIAMI

大滝郁美
väv – Vinter
織 – 冬編

2023/12/07

会期:2023.12.9(土)〜

大滝郁美さんのテキスタイル展。夏編から5年ぶりの開催です。
ルーツとなるスウェーデンはもとより、西欧東欧のフォークロア・テキスタイルから参考を得たカラーやデザインをミックスさせた冬の布を制作していただきました。
“欲しい色はなるべく染める”精神でカシミヤを中心に、糸から紡いだ麻のマットなど、素材と大いに戯れた作品です。
私の大滝郁美ワールドは懐かしくて、暖かいイメージ。言うなれば実家にあったコタツカバー。おばあちゃんの手編みのセーター。時にビター&シックにまとめた布だとしても、私のイメージは陽だまりの暖色。そんなあたたかい作品です。

作家在廊:9日(土)

略歴)
大滝郁美(Ikumi OTAKI)
山形県出身。スウェーデン、ダーラナ地方にある手工芸学校で3年間、現地の文化や自然の中で大切に受け継がれてきた、伝統的な織物や手工芸を学ぶ。
https://itori-vav.com

photo:Shingo Hikiami

eleven 2nd 2023AW

2023/11/10

会期:2023.11.23(木 祝)〜

11月は23日(木 祝)からeleven 2ndのニットの販売を開始します。たっぷりとご用意しております!
洋服の型も色数も以前より増えて見応えがあります。
Tシャツのように着るカシミヤは引き続き絶対的お薦め(これを知ったら辞められない)ですが
ヤクウール、ラムズウールのような柔らかく、強く、毛玉になりにくく、軽く、暖かいニットもあります。
カシミヤとは違ってボリュームがありながらも着心地が良いそれらは、いかにも冬らしい装いといったかたちと素材感。
一年を通してもっとも冬が好きな私にとっては、まるまるとニットに包まれるのも楽しみなのです。
もちろん、定番のカシミヤのセーター、Tシャツ、デザイナー橋本靖代さんによる手編みのニットも販売いたします。

作家在廊:23日(木)、24日(金)

https://eleven2nd.com

photo:Shingo Hikiami

Kit 買い付け展 01

2023/03/05

会期:2023.3.11(土)ー20(月)12:00-18:00

10年前に韓国に行った頃はハングルも読めなくて英語も喋れなくて、困った。
言語の分からない世界は記号的であったが、受験生なみに猛勉強したのち訪れた韓国では自然に言葉が入ってきて、バタバタバタと絵本が立体的にポップアップした感覚に陥った。言葉は平面を立体にする。
意味が通じていなくても情報が無くても、きっと何処でも自分らしくものを選んで、好みのかたちや色をすくい取って並べられる気はするのだが。 誰かの生い立ちや性格を知っていくように、もの以外の何かを抱えたいと思うのだ。
これまで私が何度も同じ場所にかえり、ある程度その土地の言葉を覚えようとしたのは、そんな理由からである。

3度目のジョージア(旧グルジア)。ちょうどロシアによる実質的なウクライナ侵略から一年が過ぎようとしていた。




კიტ
ყიდვა 01
ქვეყანა: საქართველო
წელი: 2023
მადლობა: ზონო

Kit
BUYING 01
Country:Georgia
Year :2023
Thanks:zono


David Kakabadze's sketches
ソ連占領下におけるグルジア国旗のためのデザイン案。
Union of Soviet Sosialist Republics(USSR)を表す赤いオーナメントをベースにして配置された紋様は民族性が強すぎる、と却下された。

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植田楽

2022/12/20

会期:2023.1.7(土)ー23(月)12:00-18:00
作家在廊:7(土)、8(日)

数年前に知人のアトリエを訪問した時のこと。「時間ありますか?上の階に面白い子がいるんで、ちょっと見ていきませんか。」と誘ってもらった。ふらっと何気なしにお邪魔することになり、そこに楽(ひらく)君がいた。とても若い青年で、紙を芯にしてセロハンテープで動物や恐竜をつくっているという。結論から言えば、ひと目見てすぐに好きになってしまった。もう実存しない生きものとか絶滅危惧種なんかが多いが、カンフー映画の悪役、アクション俳優、女子プロレスラーなど画面の中のキャラクターらしき作品もある。身体の厚みとかかたちが劇画調なのも気になるし、スカートの裾がヒラっとなっていたり、爪の先がふっくらしていたり、ピストルの引き金にバネが効いていたり…クスっとくる。ディズニーとか手塚治虫の漫画が質感を醸し出してくるように、動きがあって面白い。

もともと恐竜のおもちゃを両親に買ってもらったりしていたが、欲しいと思う恐竜を図鑑を見てつくるうちに手持ちのものとマッチしなくなり、自作のキャラクターを増やしていったそうだ。そんなことを繰り返しているうちに上手くなってしまったという技法は自己流で、たとえ架空の生きものだとしてもリアリティにこだわっているように思う。
彼の趣味は腕相撲でアトリエには筋トレ用の器具が置いてある。展示を見にきてくれたお客さんと突然の勝負が始まることもしばしばあるらしく、そんなこんなで出来た作品が勝者のために捧げられるブラキオサウルスのトロフィー。勝ちたい、勝ちたすぎるー!相変わらず作品を見ると静かにクスクス笑ってしまうのだが、このクスクスは純度高めのポジティブエネルギー、幸せの音だと思うのだ。


略歴)
植田楽 Hiraku UEDA
1993年京都生まれ。京都嵯峨美術大学現代アート領域専攻科卒。約20年間、紙とセロハンテープで、主に動物や恐竜をモチーフに制作。

https://ueda-hiraku.com/

ANSPINNEN + LO

2022/11/24

会期:2022.12.10(土)- 19(月)12:00-18:00

ANSPINNEN(スピネン)といえばまずカシミヤ。ランクに大きな幅があるというウールやキャメル、近年人気のヤクなども原材料から厳選して仕入れをしている。すべては良質な糸、そしてその糸に相応しいかたちをつくるためだ。
販売をするにあたって千葉にある工場を訪ねた。紡績から 撚糸 ねんし までを一貫して秋田工場で行っているが、糸のプロトタイプをつくるために千葉にも小規模の機械が一通りあるという。到着するやいなや「好きな糸で撚糸をしてみませんか?」と突然のワークショップが始った。カシミヤとウール糸3本を選び、機械で1本に り合わせるというもの。コーン状に巻かれた糸を年代ものの撚糸機にセッティングし、スイッチを入れるとゆっくりと動き出した。ちょっと生き物っぽい。無数の手足が うごめ くかのように忙しくスピードを上げてあっという間に完成。静かな工場に文明開化の音が響き渡っていた。

紡毛 ぼうもう 紡績にまつわる機械はシンプルなもので仕組みが昔からほぼ変わってないというが、手で要所要所を微調整することで糸の個性が出る。紡毛は昔ながらの手紡ぎに近い、柔らかくて膨らみのある糸をつくること。その段階では 糸面 いとづら は綺麗になり過ぎず風合いもあり過ぎない程度に調節するが、そうした糸から出来た1枚は日々使い込むことによって膨らみを増し、ちょうど良い風合いに育っていく。今では貴重な手動の横編み機・ 手横 てよこ でつくるカシミヤのストールはANSPINNENのテクスチャーを表す代表格ともいえるが1日10枚編むのが限界だという。

この秋冬に惹かれたのがパール編みのキャメル。キャメルは砂漠に暮らすため高山地帯に生息する獣毛に比べて通気性に富みドライな素材感が特徴だ。おじさんぽいラクダ色をあえてシンプルなかたちと昔馴染みのあるパール編みで表現するのがオールド・ファッションで良い。縫製された製品は洗いにかけて縮絨し、完成している。人の目に映るまでには知られざる長い道のりがあるが、受け継がれた技術と思いはこうして日々運ばれているのだ。



ANSPINNEN 略歴
創業1952年の小金毛織が2019年に立ち上げた日本初のファクトリーブランド。創業者が羊毛を扱う技術をイギリスに学び、日本に知識を広めたという社の歴史は長く、今では紡績から撚糸までの工程を一貫して行う国内唯一の 紡毛 ぼうもう ・紡績会社である。
ドイツ語の紡ぐ・つなぐという意味のSPINNENに、前置詞ANをつなげた名前は、紡績会社を基盤とし、ドイツ由来の機械を一部使っていることから名づけられた。

https://anspinnen.jp
instagram:anspinnen



LO(ロー)はイギリス・ノッティンガムで生まれた、香りの記憶から物語を紐解く9つのビーガンフレグランスキャンドル。
原材料として100%ナチュラルで遺伝子組み換えでない植物性の蝋を使用し、通常より高い濃度で蒸留されたエッセンシャルオイル、非蒸留のフレグランスオイルを混ぜることでより香り高いキャンドルを実現。職人の手作業によって伝統的な手法で蝋を注ぎ、新鮮さを保つために少量ずつ生産されている。キャンドルの芯は上質なコットンと紙のみを使用し、容器はリサイクルを心がける。すべてにおいて継続性があり追跡可能な素材を選別する、美しさと誠実さを兼ね備えたブランドなのだ。

初めてLOに火を灯したのはちょうどこんな寒い季節だった。あなたに似合う香りを選んできたわよ、と友人からプレゼントされたのだ。封を開けてみると、思いのほかふわふわしたピンクな花の香り。一瞬で心が華やいで気分が上向きになった。さすが分かってくれてるわー、とニヤニヤしたのを覚えている。
その夜、お風呂あがりに身体を整えながらLOに火を入れると、印象よりもずっと柔らかくて穏やかな香りがすっと体に入っていった。ゆらゆらと、熱くもなくぬるくもない源泉38度のお湯に浮かんでいるような幸せに思いを重ねて揺らいでいた。一日のあらゆる場面で、気分を変えたい時こそ火灯しごろ。マッチを用意してお待ちしています。

*キャンドルは定番の9種類のほか、クリスマスの香り”winter’s glow”をご用意します。その他、ハンドウォッシュ、ハンドクリーム、ルームスプレーも販売いたします。


https://lo.studio/jp
instagram:lo.studios.japan
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