Aurora GHOST / 現象

2026/10/20

会期:2026.10.31(土)〜2026.11.10(火)

STATEMENT
Ghost - 気配の可視化 -

私たちは、目に見えるものだけを認識しているわけではない。
ここに在ったものの記憶、感情、想像。
形を持たないそれらは、ときに確かな気配として残る。

は、この星から採取した光と、そこに生まれる気配を、身体に纏うことのできる存在として可視化する。
自然に生まれたバロックパールに宿る光を、空に浮かぶオーロラになぞらえ、その不確かな浮遊感をひとつの形にした。


<現象>時間の中に残された衣服を空間へと沈殿させ、そこに在った身体の記憶と気配を残す。

身体に纏われるものと、空間に沈澱するもの。
異なる場所に現れる二つのGHOSTが、ひとつの空間に共存する。


略歴)
MAISON GRAIN D’AILE
Maki Harada

2000年、MAISON GRAIN D’AILE(メゾン・グランデール)は、フランスや日本の古物を扱うことから始まった。
長い時間を経たもの、そこに残された痕跡や美しさを収集し、ものを選び、空間を構成してきた。
長年の収集と、ものを見つめてきた時間を現在の制作の根として、

時間を経たものの中に残る、気配や痕跡。
目には見えなくなったもの、記憶や思考。

それらを別のかたちとして浮かび上がらせ、作品を制作している。

2026年の発表作品には、GHOST、GHOST PEARL、「現象」などがある。


池多亜沙子 - 四時

2026/09/27

会期:2026.10.10(土)〜27(火)
作家在廊:10(土)〜12(月)
会期中無休

亜沙子さんと出合って、かれこれ十年以上が経った。LINEで何気ない日々の出来事、愚痴を聞いてもらうことは日常のひとつであり、それが同じ調子で続いていることに驚いてしまう。大なり小なり事件は起こるのだが、月日が過ぎてみると何も変わっていないような気もするのだ。相変わらず亜沙子さんは夫婦で営む喫茶店の仕事に忙しく、制作は営業を終えた真夜中にはじまる。しんと静まりかえった世界で、深い夜の灯りの下で進んでいく。「不工ふく」「無丘むきゅう」など繰り返し書くことば、数にまつわることばが多い。例えば、「四時しいじ」には春夏秋冬……一年を成す四つの時、という意味がある。儚くも、強く立とうとする「四時」の二文字にさまざまな思いがめぐる。これは昨日今日のことではない。肉体化された時間が刻んだ線だと私は思っているから。

そして、午前四時のはなし。時計の針が四を指すころ、夜はまだ終わっていないが朝はすでに始まっている。人の気配がほぼ止まっている一方で、空はまだ暗くても、太陽は地平線の下から空を照らしはじめる。私は夜とも朝ともどちらとも言えない、ほんの少しばかりのこの時間が好きだ。何かが見える気がするし、起こる気がするのだ。実体はないが予感はする、という希望。だから我われが目指すべきは、四時なのである。


略歴)
池多亜沙子 / Asako IKEDA
金沢市出身。幼少より書を始める。臨書をライフワークとし、古典をベースとした作品を制作。韓国・ソウルに拠点を置き「雨乃日珈琲店」を運営しながら、個展やグループ展で作品を発表。店舗ロゴや書籍タイトルなども手がける。

Glass,Held / いつくし

2026/09/10

会期:2026.10.6(火)〜2027.1.10(日)
場所:いつくし

group exhibition
Glass, Held
at itsukushi
1-30-2 Aobadai, Meguro-ku, Tokyo, Japan


artist/
Miki Komatsu,
MAISON GRAIN D’AILE
and Kit

壷田太郎 - ガラスのコップ

2026/07/31

2026.8.8(土) ~ 8.18(火)
作家在廊:18(土)~ 19(日)
会期中無休

シンプルな小皿を素地にして焼かれた、たくさんの釉薬テストピース。それがはじまりだった。工業高等専門学校で材料工学を学んだというだけあって、実験好き。身近にある土や砂を採ったり、混ぜたりして、窯の中で起こる化学変化を楽しんだピースだ。見込みが平らで、少しだけ縁が立ち上がったかたちは、身近にある瓶の底を型にしたそうだが、図らずも好み。あまり考えずに闇雲に焼いてみたら?と言うと、彼は本当に焼いてきた。たくさんの成果物を並べながら、いろいろなことを話したものだ。それは私たちがなにが好きで、どんなことが嫌いか──終始そのようなことだった。

ある日、コップをひとつ持ってきてくれた。お気に入りのガラスコップで型を取り、口元や底の柔らかなラインがつるんと現れるように工夫されている。90%ガラス質で出来ている陶土で焼いているから、うっすら透ける、まさにガラスのコップ。学生時代にガラスを使った研究課題が楽しかった思い出や、素材としての美しさに憧れがあることを話してくれた。

この夏は薪窯だけでなくガス窯でもたくさんコップを焼いた。同じものはなく、どれが完成でもなく、すべては実験の途中かもしれない。窯出し後の融栗谷は、小さな生きものが集まってきたように賑やかで、とても静かだった。自然発生したものは自然へとかえっていく。光にかざして見た憧れのかたちは、金すくいの末の結晶のようにキラキラしていて、雄大な自然と同じように美しく存在していた。



略歴)
壷田太郎
Taro TSUBOTA

1994年
三重県に生まれる

2020年
伊賀に住みはじめる

2023年
窯をつくる



壷田亜矢 展

2026/07/11

2026.7.18(土)〜7.28(火)
作家在廊:18(土)
会期中無休

ガス窯での作陶がはじまった。つい2ヶ月前、急にハンドルを切ることになったのだ。新しい土、釉薬、そして窯場。今まで向き合ってきた薪窯とは勝手が大きく違うけれど、培った経験と馬力は十分備えている。時間は無いけれど、やりましょう!そんな風にはじまった。

いろいろなことがあったのだが、そこから初窯まで辻褄が合わないくらい早かった。薪だから出るような重厚さ・味わいは無いが、土・釉薬の素材感をそのまま出せるガスの窯。質感が付かない分、ありのままの造形がいっそう見えてくる。少しグレーがかったり、ピンクがかったりした肌を見て、加工なしのグラビア、裸みたいだと思った。自然と人のエネルギーをたっぷり集めて焼く薪窯の仕事から飛び出して、こちらは究極にサクッと軽やかだ。かつての決まりごとから解き放たれたいま、楽しいですか?と聞いてみた。答えは言うまでもない。



略歴)
壷田亜矢
Aya TSUBOTA

1972年
愛知県安城市に生まれる

1995年
愛知県芸術大学陶磁器専攻科卒

1995年ー2026年
長久手ー伊賀ー高千穂の地を経て、穴窯・登窯で作陶する

2026年
ガス窯で作陶をはじめる



後藤洋司 製籠展

2026/06/12

2026.6.13(土)〜23(火)
作家在廊:13(土)、14(日)
水木定休

ある初夏の朝。目覚めてすぐ、ベッドの中でinstagramを開くと青竹の籠が目に飛び込んできた。あ、綺麗。特別なにかが特徴的なわけではないが、画面越しでも、不思議と心惹かれてしばらく見入ってしまった。そんなことは珍しい。テキストを読むと、まさに今日から展示会とのこと。行こう!そんなこんなで飛び起きてから数時間後には、会場にいる作家と会っていた。そこで、二種類の籠を持ち帰ることにした。ひとまず洗った食器の水切り籠に、もう一つは脱衣籠にしたのだが、それは前からあったかのようにわが家に馴染んでくれた。


なにかと籠の類は好きで、かたちや素材が面白ければ、一旦は目的を忘れて使うことにしている。自ずと生活の中で使いみちが決まっていくし、軽くて丈夫な籠はいくらあっても困ることはない。改めて振り返ると、出所を問わず古いものを選ぶことが多く、それは農作物の収穫用だったり、なにかを運ぶための道具だったり。用途がはっきりしているものほど、どうしてこの設計になったのか腑に落ちるし、推測するのもまた楽しい。時には、間に合わせで用意されたであろう不揃いな素材を、どうにかこうにか大きなひとつの塊に編み上げた籠も、少し歪だからこそ愛おしいと感じる。後藤さんの籠に惹かれたのは、計算された美しい建築物のなかに、無記名の古いものにも通じる愛嬌を感じたからかもしれない。


後藤さんは竹細工の産地である大分で製籠を学んだそうだが、旅が好きで、さまざまな風土に触れてきた。そんな経験のなかで出合った、人々の暮らしのなかに生きている民芸品の姿が好きなようだ。春に工房を訪れた際は、棚田が幾重にも広がる山道を走り、近くの竹林を見学した。帰りは鉄輪温泉でひとっ風呂浴びて、散歩してから帰ることに。地元で長く商売されているお店では、当たり前に備品として使われている竹籠の風景を見たのだが、使い込まれて良い色になった籠を見ると、やはり良いなと思う。聞くところによると、私が美しいと感動した壮大な棚田は行政の政策で大区画化され、削って一枚にされる予定だそうだ。当たり前にあると思っていたものが、今日では失われつつあるのだが、青い竹の香り、最初に感じたみずみずしい自然の気持ち良さ…その静かな存在はあの棚田の美しさに通じているような気がしてならない。




略歴)
後藤洋司
Hiroshi GOTO

中本純也

2026/04/29

2026.5.9(土)〜5.19(火)
作家在廊:9(土)
会期中無休

朝は静かにやってくる。

ゆっくりとコーヒー豆を挽く音が鳴りはじめ、まだ薄暗い台所にケトルの湯気が立ちのぼる。

しんと静まりかえった山の家に、光は真っ直ぐ降りてくる。


ー inner light(内なる光)


ふと、そんな言葉を思い出す。誰にしも降り注ぐ、小さな光。

暗闇に潜んでいたものへ少しずつ陽が届き、やがて一日は動きはじめる。調律のように繰り返される日常から、白い器は生まれる。



略歴)
中本純也
Junya NAKAMOTO

1998年 和歌山県龍神村へ薪窯を作るため移る
2011年 焼締から白磁の器に



photo : Shingo HIKIAMI
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