作家在廊:11.7(土)〜8(日)
会期中無休
photo:Kazumasa HARADA
木地を使わず、石膏型でかたちを成形している。麻布を糊漆で貼り重ね、層のように素地を作っていく。それは木では実現できないフォルムの薄さ、柔らかさが特徴的である。そして、表面的な漆の層が薄く引き締まっているから、落としても衝撃が少なく、漆が割れにくいという特性がある。漆は傷や割れを接着して内包するから、上書きが出来る。土に還らず残るし、塗り足せるし、塗料としての機能はペンキのようだが、自然物という点で現代的な素材に思える。
展示をはじめるにあたり、当初は日常に浸透している数もの、プロダクト的な作品を目指していた。石膏型を用いてかたちを複製することは出来るが、脱乾すると型は消耗する。つまり、一作品に一石膏型が必要。実際は、完成まで最低一年を要する乾漆の量産には限界がある。紆余曲折あって、いまだ。作品は漆という液体が全体を包み込んでいるけれど、月日をかけて層にした、内側の工程が滲み出るものになった。表面の仕上げは意図的に飾らなくても、自然と表情には変化が生まれる。光を吸収した漆の美しさは、素地の強さがあってこそ見えてくるのだ。
志賀さんとは15年くらい前から「いつか、なにか、出来ないか?」と話をしてきた。長く文化財修理の仕事をしていたこともあり、数年間は彼自身の作品など見たこともなく、ただただ話をしてきた。彼が数ものを目指したのは、わかる気がする。自らつくっておきながら、そこに自分の気配など存在しない世界を見たいのかもしれない。矛盾しているけれど、そこに辿り着けたら本当に気持ちが良さそうだ。少なくとも15年前より荷物は軽いし、これからも変わっていくであろう。きっと時間の層がそれを示してくれるに違いないと、私は信じている。
略歴
志賀裕昭
Hiroaki SHIGA 1979年 福島県いわき市生まれ
2006年 東北芸術工科大学大学院漆芸修了
2008年 目白漆芸文化財研究所入社
2012年 祐天寺寺宝(漆工品)修理室勤務、文化財修理に従事
2023年 福島県いわき市にて独立
photo:Kit

