柴田有紀 硝子展

2024/08/04

会期:2024.8.10(土)〜20(火)
期間中休みなし
作家在廊:10(土)、11(日)

ここ最近、ついに、自分の子ども世代の方と仕事をすることが増えている。柴田有紀さんもそのうちの一人。まだ武蔵美に在籍し、助手をしながら制作を続けている。試しに使ってみるか、と初めて注文したのはごくごく普通のコップ。持ち応えがあって、口縁の厚みや丸みがちょうど良く気に入った。京都の軟水、それも常温は柔らかくて優しい。そういう繊細な揺らぎにはこういうガラスコップがよく似合う。

好きで使っている、ほとんど特徴の無い昭和初期の吹きガラスとは色かたちも厚みも違うけれど、それを手にした時の気持ちにも似ている。私が思う、突き抜けた普通。突き抜けていたとしたらそれは普通では無いのでは…というハテナが残るが、とにかく余計なものが一切なくて気持ち良い感覚。何もないって自由なんだ。ゆらゆら揺らぎながら平熱のバランスを探っているようにも見えるけれど、その中にうぶな硬い芯みたいなものを感じた。久しぶりにあの昭和のコップを思い出して、この先に私が見たいと思うものが待っている気がした。



柴田有紀 Yuki SHIBATA

1993 神奈川県生まれ
2017 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科ガラス専攻 卒業
2017 同校 教務補助員
2018 秋田市新屋ガラス工房 勤務
2021〜現在 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科ガラス専攻 助手



写真:引網真吾
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