hou homespun

2024/11/18

会期:2024.12.7(土)〜10(火)
作家在廊:7(土)、8(日)

一年を通して行われるホームスパン※の仕事は種まきから収穫までを一人でするようなものだ。羊の原毛をそのまま使うこともあるが、ほとんどは染色し、糸を紡ぎ、織り、縮絨する。マフラーは冬に向かって仕上げていくが、夏にしか染められない色もあるという。染色や紡ぎを施した羊毛は素材として準備されるが、一旦もしくは数年のあいだ寝かされることもあり、それらは小さな素材の欠片として次の出番を待つ。

2024年はこれまでも何度かテーマになった”イギリス”にピントを合わせている。例えばグレーけむるロンドンの雨空を思い出すツイード、ミルクティーのように甘いウェルシュブランケットのカントリーなチェック。ホームスパンの本場であり、スコットランド、アイルランドにも及ぶ伝統的な毛織物の渋さ甘さは永遠に魅力的だ。上杉さんと一緒に苺のイートンメスを食べたのは4月のことだった。名門イートン校の生徒がママの持たせたお菓子を鞄の中でめちゃくちゃ(=メス)にしてしまった、というのがお菓子の由来だそう。あの時にザクザクとスプーンで割りながら食べた赤と白のお菓子はツイード(房付き)に姿を変えた。鮮やかな春が欠片を繋ぎ合わせて、ここに世界は組まれたのだ.


※ホームスパン
home(家)spun(紡ぐ)の名の通り、家畜である羊の毛を刈り取り、その原毛を自宅用に紡いで織ったことがはじまりとされる。糸を織ると1枚の布になるが、ホームスパンの場合は織ってから縮絨することによって更に繊維が空気を含み、ふっくらと起き上がる。


略歴)
上杉浩子 UESUGI Hiroko
旅行や暮らしにまつわる雑誌・書籍の編集/ライターとして活動する傍ら、2006年より東京・清野工房にて清野詳子氏に師事。ホームスパンを学ぶ。2010年恵文社一乗寺店ミニギャラリーにて初個展。以来、場所をKitにうつし、年に一度のペースでホームスパン作品の展示会を行う。

www.hou-homespun.com


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“イギリス”をテーマにして同時に販売いたします。

LO(キャンドル)→●
IG:lo.studios.japan

黒田益朗(季節の寄せ植え)→●
IG:kurodadesign

TEA & TREATS(菓子、紅茶)→●
IG:tea_and_treats_


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TEA & TREATSのイートメンスとキャンベルズパーフェクトティーをお召し上がりいただけます。
12.7(土)
12:00-18:00
¥1,800

①12:00 - 13:00
②13:15 - 14:15
③14:30 - 15:30
④15:45 - 16:45
⑤17:00 - 18:00


要予約です。お申し込みはこちらから→●

photo:Shingo HIKIAMI

eleven 2nd 2024 A/W

会期:2024.11.16(土)〜26(火)
期間中休みなし
作家在廊:16(土)、17(日)

今年もカシミヤ、ヤク、ウール(良質)のニットを販売します。2024年のカラー、新作のほか今年は手編みのニットもたくさん。昭和のニットを思い出すようなデザイン、配色が逆に新しいというこの感覚。メンズに着れるサイズ、巻いたり被るニットもあるからとりあえず来て!

首元にコンパクトに収まるサイズからぐるぐる大判巻きまで、冬らしいボリュームがありながら意外と軽いニットをご用意してお待ちしております。



https://eleven2nd.com/

photo:Shingo HIKIAMI

NO STRAY DOT
引網真吾

2024/09/18

会期:2024.10.12(土)〜29(火)
期間中休みなし
作家在廊:12(土)、13(日)

ある写真展の案内をふと目にして気になった。近づいて見た。写っているのは水辺か空か、写真か絵か、どっちが上で下なのか…これは何だろうか。気付けば熱が入り、青はプール、白はタイル、ピンクは何かのパーツ、多分ここはプールサイドと推理して、翌日にはその写真家に会いに行っていた。ただただ、好きな色の空気だった。

引網さんは大学では美術を専攻し絵を描いていたそうだが、時間をかけて完成に向かう絵画より、瞬間的に投影像を得る写真に惹かれていったという。極力余計なものを写していなくて、それは引き算とも少し違う。人の気配や自然の機微を感じながら捉えた瞬間を、なるべく触らないように、軽やかに圧縮しているように見える。

案内状には、この秋に刊行された『NO STRAY DOT』から、特に好きな二作品を選ばせていただいた。 映画「シザーハンズ」に出てきそうな陽気な家と、自然が織りなすグラデーションが圧倒的に美しい空。人工物と自然。相反するようだが私にとってそこは、とても懐かしくて遠い場所。畏れも憧れも抱きながら手が届かないのは心の中に存在するからだと思う。遠くにある星を眺めているようで実は心の内に近づいていく、誰しもに訪れるそんな普遍的な瞬間を、この作品は保存しようとしているのではないだろうか。



展示では作品および写真集『NO STRAY DOT』を販売致します。



引網真吾 Shingo HIKIAMI
1980年 和歌山生まれ。
カリフォルニア州立大学卒業後、2012年から上田義彦氏アシスタントを経て、フリーランスの写真家として独立。
https://www.shingohikiami.com

photo:Shingo HIKIAMI

柴田有紀 硝子展

2024/08/04

会期:2024.8.10(土)〜20(火)
期間中休みなし
作家在廊:10(土)、11(日)

ここ最近、ついに、自分の子ども世代の方と仕事をすることが増えている。柴田有紀さんもそのうちの一人。まだ武蔵美に在籍し、助手をしながら制作を続けている。試しに使ってみるか、と初めて注文したのはごくごく普通のコップ。持ち応えがあって、口縁の厚みや丸みがちょうど良く気に入った。京都の軟水、それも常温は柔らかくて優しい。そういう繊細な揺らぎにはこういうガラスコップがよく似合う。

好きで使っている、ほとんど特徴の無い昭和初期の吹きガラスとは色かたちも厚みも違うけれど、それを手にした時の気持ちにも似ている。私が思う、突き抜けた普通。突き抜けていたとしたらそれは普通では無いのでは…というハテナが残るが、とにかく余計なものが一切なくて気持ち良い感覚。何もないって自由なんだ。ゆらゆら揺らぎながら平熱のバランスを探っているようにも見えるけれど、その中にうぶな硬い芯みたいなものを感じた。久しぶりにあの昭和のコップを思い出して、この先に私が見たいと思うものが待っている気がした。



柴田有紀 Yuki SHIBATA

1993 神奈川県生まれ
2017 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科ガラス専攻 卒業
2017 同校 教務補助員
2018 秋田市新屋ガラス工房 勤務
2021〜現在 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科ガラス専攻 助手



写真:引網真吾

池多亜沙子 書展

2024/05/07

会期:2024.6.15(土)〜25(火)
期間中休みなし
作家在廊:15(土)、16(日)

亜沙子さんには喫茶店経営という、もう一つの仕事がある。
仕込みと接客に追われる日々は壮絶な肉体労働で、筆を持つより店に立つ時間の方が圧倒的に長いという。
くるくる回り続ける生活の中で生まれる言葉や表現方法は大きくも小さくもなく、ただ熱量があって素直だ。

ある夏の日の夕焼けは絶望的な気持ちを帳消しにしてしまうくらい、黒を白に変えるほど、綺麗だった。
その一撃は、心の奥の方にある泉に到達した気がする。それは気持ち良い自然現象。
亜沙子さんの書はなぜかあの日の空を思い出させる。ただ、見れば良いのだ。
泉に水音が響いたら教えて欲しい。そんな話をしてみたい。



池多亜沙子 IKEDA ASAKO

石川県金沢市生まれ。
幼少より書を始める。
2012年に韓国・ソウルに拠点を移し、夫と共に「雨乃日珈琲店」を営む。
日韓を行き来しながら、個展やグループ展などで作品を発表。



写真:引網真吾

Picnika カントリーフォークロア

2024/05/04

会期:2024.5.11(土)〜21(火)
期間中休みなし

土ものの壺や手ぐりの木工品に吹きガラス、アルミやホーローなどの台所道具まで。 おおらかなフォークロアの中に、可愛い目線を持って選ばれたものに焦点をあてたパート2。

作家在廊:11(土)、12(日)

展示会の様子はこちら

Kit 買い付け展 02

2024/03/01

会期:2024.3.9(土)ー19(火)12:00-18:00

私は時どき買い付けをドラゴンクエスト、宝探しゲームに例える。とりあえず出発して、行く先々でtokimeki発動すればそれを手に入れる。持ち金をすべて失い入手出来ないこともあるし、落とし穴やがどういうかたちで現れるか分からず一回止まる、終了、と思いきや間一髪でボーナス救世主が舞い降りギリギリセーフ!そんなことの繰り返し。


2012年にKitを始めることにした。貯金も退職金も無く所持金は最後に貰った給料とボーナスの残り合わせて30万ポイントくらい。そこから色んな人に助けられたり、大迷惑を掛けたりしてスタートした。フライトチケットが安い、G-DRAGONが好き、そんな理由から最初に選んだ海外買い付け先は韓国だった。繰り返し訪れ眺め続けた韓国の中で拾い上げたものは、何の知識も無い私を大いに成長させてくれた。それは経験主義円安や社会情勢の変化といった大人の事情もさることながら自分自身が年齢を重ねて、選び方見せ方も随分と変わってきたように思う。ふと、何の罰ゲームをやらされているのだろう?と思うこともあるが、無いものを探し続ける旅は何度でも新しいに出会う冒険活劇であり、それこそが宝探しであることに気づかされる。そろそろ2、3コマは進めた頃だろうか?何度もこんにちは、さようならを繰り返したここに再び戻ることにした。
アンニョン、韓国。




키트
매입 02
나라: 한국
년: 2024
감사: 아메노히 커피점,김한솔

Kit
BUYING 02
Country:KOREA
Year :2024
Thanks:amenohi coffee,Kim Hansol



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買い付け展 02の買い付け日記はこちら

臼杵春芳 展

2023/12/12

会期:2024.1.6(土)〜16(火)

久しぶりに臼杵春芳さんを訪ねた。先ずはところどころに植えた漆の木をチェック。 知り合いが持つ里山など、了承を得て数カ所に植えているらしく15年~20年で漆が掻けるようになるそうだ。元気に育っているものもあれば病気になった木もある。漆のストックが足りなくて、今年はまだ良いが来年、再来年はどうなるか…そんな話しを聞きながら山道を歩いた。

長らく木地を挽いてくれていたベテラン木地師さんは引退されたから、木地を用意するのにひと苦労していて、ここ2年間で状況は大きく変わっていた。そんな訳で今年は臼杵さん自身が轆轤を挽いた木地もあり、これまた私の好みである。数ものには出せない、ぽってりどっしりしたサイズとかたち。職人技のシャープでバランスの良い木地とはまた違った魅力がある。自然に生まれる漆の縮みや木屑の混入を生かした漆塗りは絵画的で、この漆の重なりこそ臼杵春芳だと思うのだ。

ここに来ると必ず同じうどん屋へ行き、漆の木をチェックし、最近の作品を見せてもらい、侃侃諤諤と話し猫を撫でて帰る。そんないつも通りの定点観測なのだが、確実に日本の漆は無くなりつつあるし、讃岐特有の轆轤を挽く木地師さんもいなくなってしまった。移りゆく時を感じながら、いま出来ることの中でなんとか生まれる作品を楽しみに待つばかりだ。


作家在廊:6(土)、7(日)

臼杵春芳 / USUKI Haruyoshi
1954年生まれ。1977年彫刻家新宮晋氏に師事。京都を拠点に建築家との共同作業で店舗や個人住宅の家具制作を行う。近年は工房を香川へ移し、漆の木の栽培をはじめ、漆掻き、木地師、塗師の一連の工程を一人で行っている。

www.usuki-koubou.com

photo:Shingo HIKIAMI

IG X
© SANKAKUHA inc.