Picnika

2022/03/31

会期:2022.4.9(土)- 18(月)11:30-18:00
休廊:12(火),13(水)
在廊:4.9(土)

大通りから一本入り住宅街の裏道をくねくね曲がって行って辿り着いた古い一軒家。手描きの看板「Picnika」を目印に傾いた階段を上がると、そこにベレー帽を斜めに被ったボーダーシャツの店主・津留慎太郎ひとり。木彫りの人形みたいで可愛い。いくつかの小さな部屋に分かれた店内はペイントされたアッシュグレーの木の家具とかフォークロアな刺繍の衣装とか異国情緒あふれる民具なんかが、やや所帯じみた実家感を醸し出しながら並んでいた。ここはどこ?な世界だが異邦人なのは私。まるでセットのような可愛いお店にクスッときてキュンとしたのを今でも覚えている。チェコ、ハンガリー、ルーマニアなどの東欧諸国での買い付けが多いのは、エミール・クストリッツァの映画や写真家、エッセイストのみやこうせいの著作に感銘を受けたことがきっかけらしい。最初に訪れた店舗は取り壊しのため立ち退き、今は別の場所に移っている。さらに家具メインの店「Magazyn」も新たに立ち上げたが、彼がつくる場所は絵画的風景があり、どこへ行っても旅の余韻が静かに流れている。

器、家具、民具、衣装などトータルなバイイングの中でも密かに楽しみにしているのは布や古着。さすがこやつはベレー帽を斜めに被るだけあって女子か!?と思うほど乙女な色や柄の選択。小花模様やハートモチーフは店内のどこかしらに散らばっていて、ふと幼い頃に『赤毛のアン』に憧れてフラワープリントのツーピースを着たり、パンプディングを焼いたり、ハート型のフォトフレームを作っていたことを思い出した。遠のいてはいるが簡単によみがえる私が好きだったこと。ここにそれが確実にあるなああ…とうなりながら手をのばすそれを、カントリー・フォークロアと呼ぶことにしよう。



ピクニカ 津留慎太郎 / Picnika TSURU Shintaro
1982年 熊本県阿蘇に生まれる
2001年 高校卒業後、漠然と自分の店を始めたくてお金のために株式会社マツダに就職
2004年 古着屋を始めたいと思いマツダを退職し、アメリカを1ヶ月半視察
2005年 ユニクロなどでアルバイト。エミール・クストリッツァ監督映画やみやこうせいさんの写真集などを見て東欧に興味を抱く。古着ではなく古道具屋をやりたいと思うようになる
2007年 思い切ってお店を始めようと東欧五カ国を旅し買い付けをして、そのままpicnikaを開業
2021年 福岡市早良区四箇に家具をメインとしたMagazynをオープン

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