2025年下半期スケジュール

2025/07/03

7月19日(土)ー29日(火)壷田和宏・亜矢

8月9日(土)ー19日(火)柴田有紀

9月13日(土)ー23日(火)MAISON GRAIN D'AILE

10月1日(土)ー21日(火)黒畑日佐代

11月1日(土)ー11日(火)大矢拓郎

11月15日(土)ー25日(火)石原真理

12月6日(土)ー16日(火)大滝郁美


展示の規模は大小いろいろです。
予定は変更になる可能性があります。事前にweb site、SNSをご確認のうえご来店いただきますようお願い致します。

展示会の詳細はこちらのHPで随時ご案内しております。

壷田和宏 亜矢 ー 続 炭化焼き〆

会期:2025.7.19(土)〜7.29(火)
作家在廊:19(土)
会期中無休


熱量で焼く土のかたち

窯の中の酸素を奪い、高い温度・熱量を与えて焼き〆る、炭化焼き〆。2022年の展示では穴窯で焼くこの技法を中心に制作をしていただいた。壷田和宏・亜矢さんの表現方法は多岐に渡り、それぞれ魅力があるが、特に炭化は二人が大切にする土の特性・魅力を最大限に活かせた気がして、いつかまた続きをしたいと思っていた。

むしろ、炭化でしか上手く焼けないという 黒原 くろばる 原土は、 白粉 おしろい のようにキメ細かい土で、自宅の近くで採掘し、粘土にしている。他の土とは混ぜずに原土のまま焼くと、見た目とは真逆の印象的なグレー色になり、温度によってはベージュ・ピンクのグラデーションが付くこともある。この土は緩くて崩れ易く、大きく立ち上げるのが難しい。シンプルなプレートや高台の形状は、これが限界がゆえのかたちだそう。B品の器を鋳型にする方法は、粘土を精製する時にボウルに容れておいた土が、そのフォルムを自然に記憶して器のかたちになった経験から。素材と一緒に並走し、土が気持ち良く姿を留める点を探ったり、その辺りに散らばっている美を見い出し・引き出したりしながら、気持ち良くかたちは決まっていく。

壷田さんから、炭化は温度というより熱量で焼くと教えられ、その言葉が響いた。土に物理的な力を加えて色んな姿に変えているが、それは表面のはなしで、真ん中に感じるのは熱量の働き。見えないその力には日常の決まりごとから解き放たれた、ひと時の完全なる自由がパッケージされている。


略歴)

壷田和宏 亜矢 / Kazuhiro , Aya TSUBOTA

1972年
和宏 三重県伊賀市に生まれる
亜矢 愛知県安城市に生まれる
1995年 愛知県芸術大学陶磁器専攻科卒
愛知県長久手市に登窯を築窯
2000年
三重県伊賀市融栗谷に穴窯築窯
2009年
宮崎県高千穂五ヶ所に登窯築窯
2011年
同地に穴窯を築窯






黒原原土

この立ち上がりがギリギリだというプレート

成形している間にも崩れやすい、ゆるゆるの土

失敗した作品が鋳型になる

「底が可愛くなった♡」と喜ぶ壷田さん


登り窯で焼く

前回と今回で違う点がひとつ。本来の炭化は穴窯で焼くところ、今回は工夫して登り窯を使う。理由は2年前に穴窯が壊れてから、新たに作り直す余裕が無かったから。3つある部屋のうち、一番奥の大きな部屋で炭化焼き〆を、残りの部屋では炭化以外の焼き〆・釉薬ものを焼く予定。

天草白磁にガラスを混ぜたものが面白く出来そう、とテストピースを見せていただいた。グリーンがかったグレーとでも言うべきか、何とも表しがたい中間色で、感覚的に良いなと思った。よりプレーンな表情になるようにブレンドして登り窯で焼き〆たら、炭化の有/無でどのような違いが生まれるのかを対比してみたい。

こちらは登り窯で焼いたテストピース

2025年上半期スケジュール

2025/05/14

1月4日(土)ー14日(火) 植田楽(終了)

3月22日(土)ー4月1日(火) moshimoshi(終了)

4月12日(土)ー22日(火) iroiro(終了)

5月3日(土)ー13日(火) FAT TOY + オカモトマナブ(終了)

6月7日(土)ー17日(火) 小松未季(終了)


展示の規模は大小いろいろです。
予定は変更になる可能性があります。事前にweb site、SNSをご確認のうえご来店いただきますようお願い致します。

展示会の詳細はこちらのHPで随時ご案内しております。

小松未季

2025/05/13

会期:2025.6.7(土)〜6.17(火)
作家在廊:7(土)
会期中無休

過日、小松さんからLINEが届いた。ポンポンポンと流れてきた複数枚の写真はざらざらっとしていて、砂漠のように見えた。続けてメッセージには、こうあった。


「近況報告です。空気を作ろうと思ったら、海みたいになりました。空気を閉じ込めようと思っていましたがこれはこれで…」


それは大きな作品で、板ガラスに別の素材を合わせ、焼いて、一つにする。ガラスとの間に異物があると部分的に膨らみが生じて、中に空洞が出来る。波のようでもあり、確かに、平らな面が広ければ広いほど海みたいだ。近づいて見ると視界は粗い粒子でいっぱいになり、終いには何も見えなくなる。そこには、一人で訪れた穏やかな海の世界が広がっている。

小松さんの小さな作業場にはストックされた素材が雑然と、でも大事そうに並んでいる。板ガラス、割れた蛍光灯、ビー玉、ネジ、砂、粘土細工。自身が制作したものもあるが、ほとんどが棄てられていたもので、何が、いつ、作品のピースとして召喚されるのかは分からないが、失敗した過去の制作物も素材として大事に取ってあるそうだ。ガラスにガラス、または異素材を合わせて熱を加えると、どうなるのか。

1.割れる
2.時間をかけて割れる
3.一つになる

この実験は素材同士が受け入れあってこそ成功と言えそうだが、内包しても、相反して割れても、「泣き笑い」と表現し、どちらも自然な姿だと捉えている。学生時代に吹いて、数年後に真っ二つに割れたというガラス鉢も素材としてきちんと置かれていた。ガラスはただ美しいだけではなく脆い存在だからこそ、魅力的なのだ。

小松さんとは昨年に私が参加した、松本での小さなグループイベントで出会った。その時に展示されていた『呼気』は最初に吹いた息のかたち・空気をガラスに閉じ込めた小作品で、時に自分自身が素材の一つとして寄り添うこともある。私は隣で、ただ素材と素材を組み合わせて並べるというディスプレイをすることにしたのだが、作品と作家との間に少し距離がある点に親近感を覚えた。ある程度のところで手放し、現象としてかたちを留めた作品は、表現のために素材を利用していないように感じて気持ちが良かったのだ。気が付くと、自分の搬入作業を後回しにして…キラキラした繊細な欠片たちが一番似合うであろう、居場所を彼女と一緒に探していた。


略歴)
小松未季

1997年京都府生まれ
6歳より神奈川県藤沢市で育つ。
2022年武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科ガラス専攻卒業
2024年同校大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース修了


photo:Kazumasa HARADA

FAT TOY + オカモトマナブ

2025/03/12

会期:2025.5.3(土)〜5.13(火)
作家在廊:3(土)

コアラー星人、ギョロペシ、パブリシャスにオバケ戦車…UV、ウレタンレジンなど近所で入手可能かつ安価な素材と道具を使い、大人の頭脳と子どもゴコロで製造された複製可能な手工業的おもちゃ。


ユメ〜〜〜 ⭐️🌕☀️🌈✨


ェリービーンのような色とりどりの粒粒・キラキラは子どもの頃に降ってきた夢そのもの。それは体に悪そうで美味しそうな魔の魅力。キン消しや20円ガチャに閉じ込められた小さな玩具など、かつて駄菓子屋で大量生産・大量販売され、ザツだったりパクリだからこそ自由奔放でユメいっぱいだった駄玩具をルーツに、FAT TOYが自ら再生産した作品です。版権という概念を無視した駄玩具を更なるパクリで超えてTOKIMEKIをこの手に再び。幼い頃に抱いた憧れの記憶を紐とき、大人になってしまったことを少しリグレットしながらユメをここに販売します。


今回は古物商のオカモトマナブさんにFAT TOYの展示装置をつくっていただきます。素材はちょっと古い日本の照明器具が中心。余計なものを剥いだり、パーツとパーツを組み合わせて構成する新しい照明のかたちは玩具、ロボを思わせます。FAT氏によるとロボットアニメの世界で描かれる熱い友情も制作のテーマになっているとか。とことん遊ぶ大人の無法地帯・遊園地をここにつくり、合体して欲しいと思います。


略歴)
FAT
FAT TOY主催者。
1978生まれ。NYハンターカレッジにて油絵専攻BFA取得。 現在は鍼灸院を営む傍ら普無の彼岸を超え自律に則った幸せの形を追求 、制作する。


オカモトマナブ(Manabu OKAMOTO)
1978年 滋賀県甲賀郡士山町に双子の次男として生まれる。
2010年 一般企業を退職。
同年『rust +antiques』の屋号で古物商としての活動を開始。
国内の様々なイベントに参加。多くの古物商と交流を持つ。
2020年 滋賀県大津市にて骨董店『古物 至る』を開業。
2024年 オカモトマナブ名義で照明に特化した活動を開始。
日々、〝新たな骨董〟及び〝物の価値〟を模索。

iroiro 2025

2025/03/11

会期:2025.4.12(土)〜4.22(火)
作家在廊:12(土)

今年もiroiroの販売をさせていただきます。タイで見つけた素材で現地の職人が仕立てた洋服が中心です。相変わらず制服かのように着倒しているシルク、高密度コットン、カシミヤウールなどの洋服、デザイナーの小阪靖子さんがタイに滞在しながら制作する期間中に見つけられた雑貨なども並びます。

去年2月にタイ・チェンマイで小阪さんと合流しました。図らずも20数年前に訪れたチェンマイも同じく2月でしたが、この時期特有の気候や光をよく思い出しています。日差しが強くなる日中は汗をかきながらフルーツや水分をたくさん摂り、肌寒くなる朝晩はノースリーブの上からシルクのロングコートを着てうろうろ動き回っていました。素肌に触れる優しく暖かいシルクの感触とともに記憶が蘇ってきます。滞在中に敏感に感じられる発見や湧き立つ好奇心、それが旅の醍醐味ですがそれを日常にうつすのが私の理想です。毎日あの時のような光を感じていたい。iroiroの色や素材に体を通すたびに、そんなことを思います。


photo:Yasuko KOSAKA

moshimoshi

2025/03/10

会期:2025.3.22(土)〜4.1(火)
作家在廊:未定

自然光いっぱいの白い部屋の天井から、小さな小さな毛のかたまり…モフモフたちが降りてくる。20年くらい前に偶然入ったその場所で、不思議な群れに遭遇した。吊るされたモフモフを下からめくって見ると目が付いていて、猫のような小さな生きものだった。すぐになびいて問い合わせしたものの、非売とのこと。欲しかったペットが家に来ない、そんな淋しい気持ちになり家に帰った。

それから10年が経ったある夜、私たちは暗闇で再会する。古い一軒家の急な階段を上がった畳の間に放たれて、月夜に照らされた謎の生きものが目をギラギラさせていた。ゆっくり体を回したり、おうむ返しでお喋りをする子、不気味な音色に合わせて動く子もいる。函の「まわして下さい」という貼り紙に従って、手巻きオルゴールを回すと大きな音とともにモフモフが飛び出したから、驚きのあまり落としてしまった。それは心臓に負担を感じるほどだったが、ショックとともにじわじわ笑みが溢れ出た。痛みが甘く溶けていくような感情、それは何かに似ている。惚れた。あれから更に10年経ったけれど、恋愛のようにまだこの子たちを追いかけている。


略歴)
moshimoshi

photo:Shingo HIKIAMI

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