作家在廊:15(土)
会期中無休
真理・編みもの。確か、数年前も自動的にこのタイトルを付けた記憶がある。そう並べて記したくなるくらい、季節を問わずに編んでいるそうだから。金木犀が終わり、台湾椿が咲き始めた。冬の到来を感じていたところ、久しぶりにセーラーウォーマー、手袋、マフラーなどが届く。早く正しく美しくつくられた既製品に慣れ親しんでいる私だけれど、この手編みはそんな洋服にもよく似合う。どこか分からないが異国的な色、懐かしいかたち、ふっくらと空気を含んだ、手編みならではのこの感触。人の温度を通して作品は完成する、という真理さんの言葉があるが、まさしく。遠くて温かい記憶を手繰り寄せていると、子どもの時に好きだった絵本を久しぶりに開いた日のことを思い出した。寒い冬の中にある温度は、温かな感情を紡いでいくから好きなのだ。

この立ち上がりがギリギリだというプレート
成形している間にも崩れやすい、ゆるゆるの土
失敗した作品が鋳型になる
「底が可愛くなった♡」と喜ぶ壷田さん