2025年下半期スケジュール

2025/09/04

7月19日(土)ー29日(火)壷田和宏・亜矢

8月16日(土)ー26日(火)柴田有紀

9月13日(土)ー23日(火)MAISON GRAIN D'AILE

10月11日(土)ー21日(火)黒畑日佐代

11月1日(土)ー11日(火)大矢拓郎

11月15日(土)ー25日(火)石原真理

12月6日(土)ー16日(火)大滝郁美


展示の規模は大小いろいろです。
予定は変更になる可能性があります。事前にweb site、SNSをご確認のうえご来店いただきますようお願い致します。

展示会の詳細はこちらのHPで随時ご案内しております。

MAISON GRAIN D'AILE
l’ Art Japonais / ラールジャポネ
- ジャポネの骨董と西洋のエッセンス -

2025/09/01

会期:2025.9.13(土)〜23(火)
作家在廊:13(日)
会期中無休

はじめてMAISON GRAIN D’AILEの扉を開けたのは、2000年代半ばの頃だと思う。神戸の古いビルディング内にある小さな一室に、フランスで買い付けられた古くて美しいものが並べられていた。そこに広がっていたのは、まさにCabinet de curiosités / キャビネ・ド・キュリオジテ(和訳:驚異の部屋)の世界観であり、部屋の隅に佇んでいた磁器人形のような店主の存在は、作品の一部のように印象に残った。

キャビネ・ド・キュリオジテはルネサンス時代に始まった、剥製、鉱物、植物、昆虫、貝殻、骨など自然物を中心に人工物も分け隔てなく収集した、珍しいものを並べる展示形式で、博物館の原型とも言われる。人工物というところでは、「ユニコーンの角」のような実在しないものの存在が信じられ、本物と称して贋物が陳列されたりしていたそうだ。目に見えないものを見ようとする人間の想像力は、また別次元の新たなものを生み出す。MAISON GRAIN D’AILEが表現する世界には、現在から過去を見る/過去から未来を見るような、不思議な時間軸が出来ていた。フランス、ヨーロッパだけではなくアジア諸国、日本の古物も並列されていて、特に日本のものは逆輸入されたような感覚で対面することになり、そういう意味でも新しく目に映ったものだ。私はそこで初めて古伊万里の白磁猪口をいくつか購入し、今でも愛用している。

大阪・北浜時代を経て、琵琶湖のほとりに建てた住まい・アトリエはギャラリーを暮らしの中に昇華させた場所で、現在も増築・改修工事が続く。開業から25年が経って、フランス現地に買い付けに行くことは少なくなり、改めて日本美術への思いが募っているという。今では私も同業者として二人を訪ね、たびたび対話しているのだが、目下、未来は火星に移住して骨董屋を営んでいるイメージだそうだ。いつか、これぞという品々を抱いて渡り、火星人を驚かせたい、そんな話をしてくれた。ユニコーンの角を思い描いた、先人の夢のようではないか。いつか誰かが見た夢は我われのものでもある。私がずっと感じていたのは、よく形容されるであろう重厚で静謐な世界観ではなく、膨大な量の収集物や時間の重さを突き抜けるような、圧倒的な軽やかさ。火星人が驚くところを一緒に見たい…そんな話をしながら、グランデールとは、浮遊する種子=とても軽い、と言う意味であることを思い出していた。


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2025年9月に25周年を迎えるMAISON GRAIN D’AILE(メゾングランデール)の展示販売を行います。長きに渡ってフランスの古物を中心に収集し、空間をつくり続けている二人。その経験、知識、目を通して、日本の古物が持つ美しさに焦点を充てた展示になります。


略歴)
MAISON GRAIN D'AILE
Shinsaku HARADA, Maki HARADA

2000年
メゾングランデールとして活動を始める。主にフランスを中心に世界中から美しい・古いものを収集しコレクション展を発表。当初から表現してきた、貝や鉱石・標本などキャビネ・ド・キュリオジテやシュールレアリスムなどの要素を含む古美術の世界を制限した色彩・物語性のある構成を用いて独自のスタイルで確立

2015年
住まいとアトリエを琵琶湖のほとりに移し、MAISON GRAIN D'AILE の家をデザイン・建築。

大阪・北浜にて、より本質的なオブジェを紹介するGALERIE AU BOIS - ギャルリ・オーボワを2018年12月末まで運営したのち、現在はオンラインストアにて販売を続けている。

maisongraindaile.com

photo:Kazumasa Harada

柴田有紀 展

2025/08/02

会期:2025.8.16(土)〜26(火)
作家在廊:17(日)
会期中無休

まだ武蔵美で助手として働いている柴田有紀さんに会いに行ったのは、3月だった。様子を伺いつつ、なんとなく今年の方向性を話す。とりあえず何かを掴もうと手ぶらで行って、抽象的な話で終わってしまうことが多いのだが、この日もそうだった。具体的にかたちとなって一つ二つと便りがあると、ようやく調子が出てくるはずが、歯車がなかなか合わず、更に予定外のこともあって気付けば8月。DM用の写真も撮影できないまま計画が狂いに狂って、会期が一週間遅れてしまった。

そんな中でも明日また初日を迎える。ギリギリ滑り込みで届いた作品は、前回よりもっと磨かれて、新しく、素直な柴田さんらしいかたちばかりだった。奇跡的なタイミングで二度に渡り写真に収めていただくことも出来て、こうなったらこの瞬間も撮ってもらいたかったなー、と切ないほど。ピースはバラバラだったものの、最後にはちゃんと合った。それぞれが似合うような場所をつくりながら、探しものが見つかったような気分だった。


吹きガラスとパート・ド・ヴェールの作品がある。ガラス粉末を石膏型の中で熔融して成型するパート・ド・ヴェールの作品に、美学生が練習で描く静物画のような佇まいを感じていた。型づくりに関しては、身近に既にあるものを型に取る、吹きガラスで制作したものを型に取る、粘土でかたち作ったものを型に取る、などの方法を取っているが、直接ガラスという素材を手で触れることが出来ない吹きガラスに対して、パート・ド・ヴェール作品はもっと自分らしい”かたち”に向き合っているような気がしていた。今回は、そのパート・ド・ヴェールで取り組んでいるような彫刻的なかたちを、吹きガラスに持ち込んでいただいた。

二つの技法で、柴田さんらしい、でも新しいかたちが引き出されたと思う。直前まで色んなことを話したが、キーワードは”静物画”だった。

photo:Kazumasa Harada

壷田和宏 亜矢 ー 続 炭化焼き〆

2025/07/03

会期:2025.7.19(土)〜7.29(火)
作家在廊:19(土)
会期中無休


熱量で焼く土のかたち

窯の中の酸素を奪い、高い温度・熱量を与えて焼き〆る、炭化焼き〆。2022年の展示では穴窯で焼くこの技法を中心に制作をしていただいた。壷田和宏・亜矢さんの表現方法は多岐に渡り、それぞれ魅力があるが、特に炭化は二人が大切にする土の特性・魅力を最大限に活かせた気がして、いつかまた続きをしたいと思っていた。

むしろ、炭化でしか上手く焼けないという 黒原 くろばる 原土は、 白粉 おしろい のようにキメ細かい土で、自宅の近くで採掘し、粘土にしている。他の土とは混ぜずに原土のまま焼くと、見た目とは真逆の印象的なグレー色になり、温度によってはベージュ・ピンクのグラデーションが付くこともある。この土は緩くて崩れ易く、大きく立ち上げるのが難しい。シンプルなプレートや高台の形状は、これが限界がゆえのかたちだそう。B品の器を鋳型にする方法は、粘土を精製する時にボウルに容れておいた土が、そのフォルムを自然に記憶して器のかたちになった経験から。素材と一緒に並走し、土が気持ち良く姿を留める点を探ったり、その辺りに散らばっている美を見い出し・引き出したりしながら、気持ち良くかたちは決まっていく。

壷田さんから、炭化は温度というより熱量で焼くと教えられ、その言葉が響いた。土に物理的な力を加えて色んな姿に変えているが、それは表面のはなしで、真ん中に感じるのは熱量の働き。見えないその力には日常の決まりごとから解き放たれた、ひと時の完全なる自由がパッケージされている。


略歴)

壷田和宏 亜矢 / Kazuhiro , Aya TSUBOTA

1972年
和宏 三重県伊賀市に生まれる
亜矢 愛知県安城市に生まれる
1995年 愛知県芸術大学陶磁器専攻科卒
愛知県長久手市に登窯を築窯
2000年
三重県伊賀市融栗谷に穴窯築窯
2009年
宮崎県高千穂五ヶ所に登窯築窯
2011年
同地に穴窯を築窯






黒原原土

この立ち上がりがギリギリだというプレート

成形している間にも崩れやすい、ゆるゆるの土

失敗した作品が鋳型になる

「底が可愛くなった♡」と喜ぶ壷田さん


登り窯で焼く

前回と今回で違う点がひとつ。本来の炭化は穴窯で焼くところ、今回は工夫して登り窯を使う。理由は2年前に穴窯が壊れてから、新たに作り直す余裕が無かったから。3つある部屋のうち、一番奥の大きな部屋で炭化焼き〆を、残りの部屋では炭化以外の焼き〆・釉薬ものを焼く予定。

天草白磁にガラスを混ぜたものが面白く出来そう、とテストピースを見せていただいた。グリーンがかったグレーとでも言うべきか、何とも表しがたい中間色で、感覚的に良いなと思った。よりプレーンな表情になるようにブレンドして登り窯で焼き〆たら、炭化の有/無でどのような違いが生まれるのかを対比してみたい。

こちらは登り窯で焼いたテストピース

2025年上半期スケジュール

2025/05/14

1月4日(土)ー14日(火) 植田楽(終了)

3月22日(土)ー4月1日(火) moshimoshi(終了)

4月12日(土)ー22日(火) iroiro(終了)

5月3日(土)ー13日(火) FAT TOY + オカモトマナブ(終了)

6月7日(土)ー17日(火) 小松未季(終了)


展示の規模は大小いろいろです。
予定は変更になる可能性があります。事前にweb site、SNSをご確認のうえご来店いただきますようお願い致します。

展示会の詳細はこちらのHPで随時ご案内しております。

小松未季

2025/05/13

会期:2025.6.7(土)〜6.17(火)
作家在廊:7(土)
会期中無休

過日、小松さんからLINEが届いた。ポンポンポンと流れてきた複数枚の写真はざらざらっとしていて、砂漠のように見えた。続けてメッセージには、こうあった。


「近況報告です。空気を作ろうと思ったら、海みたいになりました。空気を閉じ込めようと思っていましたがこれはこれで…」


それは大きな作品で、板ガラスに別の素材を合わせ、焼いて、一つにする。ガラスとの間に異物があると部分的に膨らみが生じて、中に空洞が出来る。波のようでもあり、確かに、平らな面が広ければ広いほど海みたいだ。近づいて見ると視界は粗い粒子でいっぱいになり、終いには何も見えなくなる。そこには、一人で訪れた穏やかな海の世界が広がっている。

小松さんの小さな作業場にはストックされた素材が雑然と、でも大事そうに並んでいる。板ガラス、割れた蛍光灯、ビー玉、ネジ、砂、粘土細工。自身が制作したものもあるが、ほとんどが棄てられていたもので、何が、いつ、作品のピースとして召喚されるのかは分からないが、失敗した過去の制作物も素材として大事に取ってあるそうだ。ガラスにガラス、または異素材を合わせて熱を加えると、どうなるのか。

1.割れる
2.時間をかけて割れる
3.一つになる

この実験は素材同士が受け入れあってこそ成功と言えそうだが、内包しても、相反して割れても、「泣き笑い」と表現し、どちらも自然な姿だと捉えている。学生時代に吹いて、数年後に真っ二つに割れたというガラス鉢も素材としてきちんと置かれていた。ガラスはただ美しいだけではなく脆い存在だからこそ、魅力的なのだ。

小松さんとは昨年に私が参加した、松本での小さなグループイベントで出会った。その時に展示されていた『呼気』は最初に吹いた息のかたち・空気をガラスに閉じ込めた小作品で、時に自分自身が素材の一つとして寄り添うこともある。私は隣で、ただ素材と素材を組み合わせて並べるというディスプレイをすることにしたのだが、作品と作家との間に少し距離がある点に親近感を覚えた。ある程度のところで手放し、現象としてかたちを留めた作品は、表現のために素材を利用していないように感じて気持ちが良かったのだ。気が付くと、自分の搬入作業を後回しにして…キラキラした繊細な欠片たちが一番似合うであろう、居場所を彼女と一緒に探していた。


略歴)
小松未季

1997年京都府生まれ
6歳より神奈川県藤沢市で育つ。
2022年武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科ガラス専攻卒業
2024年同校大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース修了


photo:Kazumasa HARADA

FAT TOY + オカモトマナブ

2025/03/12

会期:2025.5.3(土)〜5.13(火)
作家在廊:3(土)

コアラー星人、ギョロペシ、パブリシャスにオバケ戦車…UV、ウレタンレジンなど近所で入手可能かつ安価な素材と道具を使い、大人の頭脳と子どもゴコロで製造された複製可能な手工業的おもちゃ。


ユメ〜〜〜 ⭐️🌕☀️🌈✨


ェリービーンのような色とりどりの粒粒・キラキラは子どもの頃に降ってきた夢そのもの。それは体に悪そうで美味しそうな魔の魅力。キン消しや20円ガチャに閉じ込められた小さな玩具など、かつて駄菓子屋で大量生産・大量販売され、ザツだったりパクリだからこそ自由奔放でユメいっぱいだった駄玩具をルーツに、FAT TOYが自ら再生産した作品です。版権という概念を無視した駄玩具を更なるパクリで超えてTOKIMEKIをこの手に再び。幼い頃に抱いた憧れの記憶を紐とき、大人になってしまったことを少しリグレットしながらユメをここに販売します。


今回は古物商のオカモトマナブさんにFAT TOYの展示装置をつくっていただきます。素材はちょっと古い日本の照明器具が中心。余計なものを剥いだり、パーツとパーツを組み合わせて構成する新しい照明のかたちは玩具、ロボを思わせます。FAT氏によるとロボットアニメの世界で描かれる熱い友情も制作のテーマになっているとか。とことん遊ぶ大人の無法地帯・遊園地をここにつくり、合体して欲しいと思います。


略歴)
FAT
FAT TOY主催者。
1978生まれ。NYハンターカレッジにて油絵専攻BFA取得。 現在は鍼灸院を営む傍ら普無の彼岸を超え自律に則った幸せの形を追求 、制作する。


オカモトマナブ(Manabu OKAMOTO)
1978年 滋賀県甲賀郡士山町に双子の次男として生まれる。
2010年 一般企業を退職。
同年『rust +antiques』の屋号で古物商としての活動を開始。
国内の様々なイベントに参加。多くの古物商と交流を持つ。
2020年 滋賀県大津市にて骨董店『古物 至る』を開業。
2024年 オカモトマナブ名義で照明に特化した活動を開始。
日々、〝新たな骨董〟及び〝物の価値〟を模索。

IG X
© SANKAKUHA inc.